デルコスカレー・ガネーシャ店長

第二話|デルコスの人気メニュー「スープカレー」は、インドに起源あり

「インド人って、毎日カレー食べているの?」
答えは、イエス。

僕が日本の人たちに一番よく聞かれる質問は、これです。
「インド人って、毎日カレー食べているの?」 答えは、イエス。
ときどき、家族や友人と外食するとき、中華料理やピザなどを食べることもありますが、自宅で食べるものはほとんどカレー。
僕の家族はノンベジタリアンだったので、野菜のカレーもあれば、豆のカレーもあり、ときにはチキンやマトンのカレーもあって、非常にバラエティ豊かでした。
でも、ひとことで括ってみれば、それらはすべて「カレー」です。
日本の人たちにとっては、「朝もカレー、昼もカレー、夜もカレー、カレーづくしの生活でどうして飽きないの?」と不思議かもしれません。

でも正確にいえば、同じカレーでも朝昼晩で食べるものは違ってきます。
たとえば、朝はココナツを使い、サラっと軽めの食感が特徴のカレーを食べ、昼はお米と一緒に魚や肉が入ったカレーを食べてエネルギー補給。
そして、夜はお米ではなくチャパティやナンとあわせていただいたり、同じ「カレー」といっても、食べるタイミングによってバリエーションを変えています。
これは僕の家だけでなく、ほぼすべてのインド人家庭に共通することでしょう。

「だけど、結局カレーでしょ? スパイス料理でしょ? よく飽きないよね」 日本の人なら、誰もがそう驚くでしょう。
でも反対に、僕からみたら「日本人はどうしてそんなに醤油が好きなの?」と思います。
煮物も、焼き物も、ほとんどが醤油味。
ときどき味噌味や塩味もあるけれど、日本の家庭で料理に醤油を使わない日はないでしょう。
歴史を辿ってみれば、醤油の起源は中国にあるそうです。
醤油は、古代中国から伝わる「醤(ひしお)」の一種と考えられていて、それがやがて日本に伝来。
鎌倉時代に、大豆を発酵する際に出る"液体の旨み"が禅僧により発見されます。
これが溜(たまり)と呼ばれ、醤油の原型と考えられているんだそうです。
だから、醤油と日本人の関係は、ざっと計算して約800年。
それくらい醤油と日本人は付き合いが長くて、だからこそ、醤油は日本人の食生活にとって、なくてはならないものなのですね。

一方、僕たちインド人にとってもスパイスは不可欠の存在です。
一説によると、世界中で出回るスパイスの約70%はインドから生まれたというくらい、僕たちの祖国はスパイスであふれています。
その中でカレーに使われるスパイスはターメリック、クミン、コリアンダー、シナモン、クローブ、チリパウダーなど、約16種類。
それらをどう組み合わせるか、どれだけチリパウダーを使うかなどによって、カレーは全然違う個性を放つのです。

サンバル

南インドのソウルフード「サンバル」

同じ「カレー」といっても、北インドと南インドのカレーはまったく違います。
たとえば日本のラーメンも、地域によって味が違いますよね。
僕は訪れたことがないけれど、味噌ラーメンに親しんだ札幌の人が、九州ではじめて豚骨ラーメンを食べたら、同じ「ラーメン」という料理であっても、その違いにきっとびっくりするでしょう。
インドは日本よりずっと国土が大きいこともあって、北インドと南インドの食文化の違いは、札幌と九州の比ではありません。
食材も、味付けも、調理法も、盛り付け方も、同じ国の料理と思えないほどまったくの別物です。
詳しくは、ココに書かれているので、ぜひ、読んでいただきたいのですが、簡単にいえば、北インドのカレーはオイルやクリームをたっぷり使ったコッテリ系、南インドのカレーはさらっとしているサッパリ系。
北インドのカレーは、小麦粉を練って焼くナンやチャパティと一緒に食べますが、南インドのカレーはお米と一緒に食べるのが定番です。

僕は北インドの出身なので、家でお母さんが作ってくれたカレーも、レストランや食堂で外食した時に食べるカレーも、すべてどろっとしていて、コッテリ味のものが大半でした。
でも最近では、北インドのまちなかでも南インドの料理を出す食堂が増えていて、僕も家族や友達とよく南インドのカレーを食べに行っていました。
僕は、慣れ親しんだ北インドの料理ももちろん好きでしたが、複雑にスパイスを組み合わせ、味わいに奥行きがある南インド料理が大好きだったのです。

南インド料理の代表メニューに「サンバル」というものがあります。
これは主にキマメと野菜を煮込んで作るスープのようなもの。
使われる野菜は季節によってさまざまで、ナス、大根、オクラ、カボチャなどさまざまなものを組み合わせて作ります。
言ってみれば日本人にとっての味噌汁のような存在で、お米とサンバルの組み合わせは本当に最高。
ほかにおかずがなくても、サンバルさえあればご飯が何杯もいけるというほど、南インドでの食卓に無くてはならない存在です。
南インドの人たちにとって、サンバルはまさにソウルフードなのです。

僕はこのサンバルが大好きです。
インドで暮らしていたときも、なじみの南インド料理屋さんでよくサンバルとライスを注文しました。
真夏、暑くて食欲がないときも、冬に風邪をひいて熱が出たときも、サンバルならさらさらっと胃におさまります。
僕にとって、サンバルはなくてはならない料理でした。

デルコスのスープカレー

僕オリジナルの「スープカレー」

僕は日本に来てから、インド人の友達とときどきインド料理屋さんへ出かけました。
どこも個性豊かでおいしくて、日本人のシェフだろうと、インド人やパキスタン人やネパール人のシェフだろうと、インドで食べるカレーに負けず劣らず、いや、むしろそれよりおいしいかもしれないと思うくらい、日本のカレーはとてもレベルが高いなと思います。
でもただひとつ、惜しいなと思ったのが、サンバルのようにさらっとしたスープを置いている店があまりないこと。
僕はときどき、インドでよく食べたスープが懐かしくなりました。

さっきお話ししたサンバルは南インド料理で、さらっとした食感はどこかスープっぽいのですが、それとは別に、北インド料理を出す食堂にはたいてい「スープ」というメニューがあります。
スパイスをたくさん使っているので、見た目はどこかカレーっぽいのですが、僕たちインド人は、それをカレーとは考えません。
カレーではなく、スープ。
トマトやなす、かぼちゃなどの野菜を加えたシンプルなものや、チキンやシーフードを使った豪華なものまで、さまざまな種類があります。
それらは家で食べることもありましたが、「カレーをしっかり食べるほどお腹は空いていないけれど、ちょっと小腹が空いたな」というとき、外の食堂でさっと食べることがほとんどでした。

ああ、サンバルが食べたいな。スープが飲みたいな。
日本に来てしばらくした頃、僕はそんな思いを募らせました。
特に、日本の寒い冬とか、蒸し暑い夏とか、サンバルやスープを懐かしく思い出すことが増えました。
「よし、日本にサンバルやスープがないなら、僕が自分の店で作ろう。
お客さんにも食べてもらおう」 ある日、僕はそう思い、厨房に立ちました。
インドでよく食べていたお気に入りのチキンスープは、コリアンダー、チリパウダー、パプリカパウダー、ブラックペッパー、塩、生姜が入っていました。
それを思い出し、日本人にも好まれそうに、ちょっとだけアレンジ。
出来上がったものは、カレーほどこってりしておらず、サンバルほどスパイスが強烈でなく、スープよりももうちょっと食べ応えのある、僕オリジナルの「スープカレー」でした。

いま、「デルコス」ではスープカレーがとても人気です。
デルコス八王子店では、チキンと魚介のダブルスープをベースに、毎日3種のカレーをご用意。
海の幸をたっぷり加えたシーフードスープカレーは女性に人気ですし、骨付チキンがゴロッと入ったチキンスープカレーはボリューム満点で男性うけ抜群。
それから、季節野菜をたくさん食べられる旬の野菜カレーはヘルシーで、ご高齢のお客様にも好評です。
僕がインドでよく食べていたサンバルやスープとはちょっと違うけれど、「デルコス」のスープカレーは、いってみればそれらのいいとこ取りをしたオリジナルメニュー。
これからも、もっと多くの人に楽しんでいただきたいなと思います。

インタビュアー:シャンティ・ヨガンヌ

デルコス八王子本店

年中無休

<イートイン>
【ランチタイム】
 11:00~17:00(L.O. 16:30)
【ディナータイム】
 17:00~22:30(L.O. 22:00)

<テイクアウト>
【ランチタイム】
 11:00~17:00(L.O. 16:30)
【ディナータイム】
 17:00~22:30(L.O. 22:00)

<UberEats>
 11:00~22:00

お得なランチ、ディナーセット、パーティープランもあります。
テイクアウト、企業向けデリバリーも承ります。

木のぬくもり感じる、アットホームなインドレストラン
JR北八王子駅から徒歩5分。国道20号線の大和田坂上交差点角にある八王子本店は、ゆったりくつろげる雰囲気が特徴です。店内は、テラス席を含め55席。おひとり様から大人数でのパーティまで、幅広く対応しています。

アクセスマップ

所在地 デルコス八王子本店|〒192-0033 八王子市高倉町1-10-1F
連絡先 042-648-5227|FAX. 042-660-5739